プロジェクトの趣旨 | Concept

循環型田園社会の形成を目指して――田園社会プロジェクト設立趣意書より

 石油の枯渇が現実味を帯びてきました。専門家の予測では、採掘量は2007年頃にピークを迎え、現在の消費量が続けば30数年で枯渇するとのこと。先進国の1/10程度の消費量しかない中国やインドが本格的な経済成長を果たせば、枯渇の時期はもっと早まり、20年後とも言われています。それを待たずとも、埋蔵量が少なくなれば石油価格は暴騰します。

 石油のない世界。それは産業経済においては血液のない人体と同じ。鉱物資源のない日本経済は真っ先に破綻し、先進国の経済も極度の混乱に陥るでしょう。

 とりわけ危惧されるのが食料の危機。現在の農産物は、肥料、農薬、大型機械、ポンプ灌漑など石油に依存しています(1kcal の米生産に2.6kcalの石油を使用)。石油が少なくなれば世界の農産物は激減、価格は暴騰するでしょう。ポスト石油と言われるバイオ・エタノールの生産も、原料となるトウモロコシやサトウキビの生産が激減するため赤信号がともります。気象に関する政府間パネル(IPCC)は、2025年には50億人が水飢饉に遭遇、また国連も今世紀半ばには世界60カ国、70億人が深刻な水不足に直面すると発表。地球の温暖化が進行すれば約30億人の人が餓死するという予測もあります(Dr.メドウス等)。

 食糧自給率が40%に及ばない日本は、どこの国よりも先にこうした事態に直撃されるはずです。我が国には国民の半分を養う農地もありません。産業としての農業は著しく衰弱し、農村は老い、地方は疲弊し、20年後の我が国は、ほとんどのベテラン農夫(農地に劣らない人的資源)を失ってしまうという状況となっています。

 石油の枯渇が及ぼす影響は、その現実性、スケール、混乱度などにおいていわゆる地球の環境問題をはるかに超えています。20年後に備え、それぞれの地域の農地はそれぞれの地域で守るしかありません。

 これまで経済的資源であった農地は、生存のための資源へと役割を変えなければならない時期にさしかかっているようです。さらに今後の社会は一刻も早く、化石資源に頼らずに豊かな環境を築いてゆくという循環型田園社会の形成に転換していくことが望まれます。

 幸いなことに、国でも「農地・水・環境保全向上対策」をはじめ農地・水利施設を守るための地域活動を促す施策が増えてきました。しかし、農政は基本的に農家を対象とした施策であり、政策手法は従来通りのインセンティブ(補助金や支援金)。一般住民を対象とした活動には施策論(インセンティブ)ではなく運動論(モチベーション喚起)が不可欠であり、この点において、農政の対応は政策的限界が生じてきます。

 私たち「田園社会プロジェクト」は、全国で広まりつつある農村の地域活動に対して、民間の広報ノウハウを投入して、行政の施策から独立した形でこれらの地域活動を支援するとともに、著名人、一般市民、企業法人などに呼びかけ、国民的ムーヴメントに発展するような活動を展開するための特定非営利法人として設立するものです。

環境教育教材

コミュニティ 〜 COMMUNITY